RED ROBIN: THE GRAIL
翌日になりましたが、7/19ということで、ティムお誕生日おめでとう個人誌紹介です。
レッドロビン:the Grail
ライターはクリストファー・ヨスト、ペンシラーはラモン・バッハ。
- 作者: Christopher Yost,Ramon Bachs
- 出版社/メーカー: DC Comics
- 発売日: 2010/05/04
- メディア: ペーパーバック
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Grailは聖杯という意味ですが、そのものというよりも、聖杯伝説に由来する手に入れる事が非常に困難な物の探索、という意味でつけられた題名だと思います。
時期はフラッシュポイント前、アイデンティテ・クライシスによって実の父を失った3代目ロビンことティム・ドレイクはブルース・ウェインからの申し出を受け入れ、ティム・ウェインとしてブルースの正式な養子になっています。
さらにインフィニット・クライシスにて親友のスーパーボーイ(コン・エル/コナー・ケント)が死に、続いて死んだキッドフラッシュ(バート・アレン)を生き返らせようとクローンの研究に励んだりもしていました。
ゴッサムでは急に現れたダミアンにロビンの地位を取られ、生き返ったジェイソン・トッドの対応をし、ブルースが死に、兄弟喧嘩の末、ディックがバットマンを継ぐ決意をしました。
そんな中で2009年に始まったこのレッドロビン誌はティムの孤独から始まります。
ディックはまだまだ問題を抱えているダミアンをロビンとして側に置くことでダミアンを良い方向に育てようとします。同時にティムには同列の兄弟として共にゴッサムを守って欲しいと考えています。
しかしティムは、ダミアンが自分に代わってロビンに選ばれたことに納得がいっていません。ブルースの死を、そして変化を受け入れろというディックを拒んでしまいます。
事態を受け入れられないティムが、一暴れした後にたどり着いた考え、それは、『ブルースは生きている』ということです。
『彼は何処かにいる。僕はわかる。僕は正しい』
『みんな僕が悲しみにくれて現実を受け入れてないって思うだろう』
『正気を失った、ってね』
『でも、ブルースは僕にとって全てで、絶対にブルースは生きてるはずだ』
『集中しろ。探し続けろ』
『答えを見つけるんだ。ブルースは何処かにいる』
『ブルースは僕を見捨てない』
『僕もブルースを死なせてはおかない。忘れさせやしない』
その決意の元、生き返って暴れまわったジェイソンの着ていたコスチュームを、名誉なきロビンの表れとして身に纏ったティムは世界を飛び回ってブルースが生きている証拠を探し続けます。
ティムがゴッサムを出て行く前には、元カノのステファニーや、ヤングジャスティス時代からの友人のワンダーガール、さらにはディックがティムにブルースが死んだ現実を受け止める様話しかけますが、ティムは自分を信じてくれと言い、より溝を深めてしまいます。
誰も信じてくれない、でも自分は正しい、ブルースは生きている。そんなティムに接触する、同じくブルースの生存を信じる唯一の男の存在。そして、ウェイン社の者としてティム・ウェインを探すフォックスの娘、タム。
友人、ヴィランと対峙しながらも独り真実を追い求めたティム・ウェインがたどり着いた答えとは。
ここから続くレッドロビンのシリーズの序盤として、またモリソン期のバットマン誌の裏話として、親の生存を信じる1人の息子の探索の物語として非常に良いお話だと思います。
ティムの執念深さというか、登場初期から続く、自分の正しいと思ったことを貫き通す強さを感じさせてくれる、ティム・ドレイク入門本としても良い本だと思います。
それから活躍は続巻以降が多いのですが、本作で登場する父のルーシャス・フォックスにお使いを頼まれてティムのヴィジランテの世界に巻き込まれたタムとの関係が非常に好きなので、TPB全4冊の2009年レッドロビンシリーズ、ぜひぜひ読んでみてください。